税理士制度の沿革
『税務代理業の発生』 | |
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明治29年 (1896年) |
税務代理業務が生まれたのは、遠く日露戦争の当時にさかのぼります。日清戦争後の財政負担増を賄うため、明治29年に営業税法が制定されました。その後、日露戦争の勃発に伴う相次ぐ増税で税務相談等を依頼する納税者が急増し、税務相談等を独立の業とする職業が生まれました。 |
『税務代理業の発生』 | |
明治45年 (1912年) |
税務代理業者の中には納税者の依頼に十分こたえることのできない不適格者も出てきましたので、その取り締まりを目的として、明治45年5月16日に大阪府令で「税務代弁者取締規則」が制定されました。その所管は警察官署でした。 |
『税務代弁者取締規則の制定』 | |
昭和17年 (1942年) |
昭和2年に計理士法が制定され、その後第二次世界大戦時下の財政重要度が高まるにつれ、税務行政の適正な運営を図る見地から、昭和17年2月23日「税務代理士法」が制定されました。弁護士、計理士、判任官以上で3年以上国税の事務に従事した者等が有資格者で、大蔵大臣の許可を受け、税務書類の作成、税務代理、税務相談を業としました。わが国における税理士制度は、この税務代理士法により初めて確立されたということができます。 |
『税理士法の制定』 | |
昭和26年 (1951年) |
戦後、急速な民主主義改革が行われ、申告納税制度の採用、税務代理士制度の改正に関するシャウプ勧告等により、納税義務を適正に実現するには、職業専門家の援助を得ることが必要であるとの見地から、従来の税務代理士法に代えて、昭和26年6月15日新たに「税理士法」が制定されました。この税理士法には、税理士の職責、業務の範囲、税理士試験、事前通知制度などについて詳細な規定が設けられました。 |
『税理士法の改正が行われました』 | |
昭和31年 (1956年) |
特別税理士試験制度の創設、税理士会への強制加入制度の制定、通知公認会計士制度の創設などの改正が行われました。 |
『税理士法の一部改正』 | |
昭和36年 (1961年) |
税理士の登録事務を国税庁から日本税理士会連合会に移譲する改正が行われました。 |
『税理士法の大改正』 | |
昭和55年 (1980年) |
税理士の使命の明確化、業務範囲の拡大(全税目が対象になり、会計業務を付随業務として行えることになった)、登録即入会制度への移行(通知公認会計士制度の廃止)、助言業務に関わる規定の新設、税務署管轄区域ごとの支部の設置など、法制定以来初めての大改正が行われました。 |
『税理士法の一部改正』 | |
平成14年 (2002年) |
これまでの税理士法は、昭和55年に改正されて以来20年余りが経過して、この間経済活動の国際化・規模緩和の要請・高度情報化の進展が目覚しく、税理士制度を取り巻く環境も大きく変化しました。このため時代の変遷に応じ、社会の要請に即した税理士制度の見直しが求められていました。 今回の改正は、納税者の利便の向上に資するとともに、その信頼に応えうる税理士制度を確立するという観点に立って、税理士法全般にわたる見直しが行われました。 その中には、税理士が裁判所において補佐人となる制度の創設、計算事項・審査事項等を記載した書面添付に係る意見聴取制度の拡充、税理士法人制度の創設など、税理士業務の抜本的な改善につながる改正が行われました。また、「研修を受ける義務」についての努力規定の新設、税理士の業務に関する紛議調停制度の創設など、税理士の資質向上や社会的信頼を高めるための改正事項も含まれています。 |
『税理士法の改正』 | |
平成26年 (2014年) |
税理士業界にとって永年の課題であった公認会計士への税理士資格自動付与の廃止、調査の事前通知の規定の整備、補助税理士制度の見直し、事務所設置の適正化、電子申告等に係る税理士業務の明確化など、税理士業務の改善に関する項目が改正されました。 また、租税教育への取り組みの推進、税理士に係る懲戒処分の適正化、税理士証票の定期的交換、会費滞納者に対する処分の明確化など、税理士の信頼性の確保に関する改正項目が含まれています。 |
税理士記念日の由来
我が国の税理士制度は、昭和17年2月23日、税務代理士法によって初めて法制化されました。この日を税理士記念日と定め、毎年各地で税の無料相談や座談会等、各種の行事を行っています。現行の「税理士法」は昭和26年6月に制定され、その後10数回に及ぶ改正により、特に税理士会の強化充実と自主性の確立が図られ、現在に至っています。